オーロラ姫のティアラ考(その1)




たまたまなのではありますが最初に選んだ演目が3幕のオーロラヴァリエーションだったからか、現時点で一番多いようなので記事にしてみようかと思います。





オーロラは王道プリンセスでもありますしね。
有名なお話なので改めて書く必要もないかとは思いますが、ティアラにおいても役柄解釈は必要ですので、まずはあらすじから。









アメリカンバレエシアターの眠れる森の美女。
王子の衣裳を見てくるみ割りかと思った(^^;
バレエリュス復元版とでもいう作品で、衣裳や舞台装置もレオン・バクストの原案に基づいているのだそうですね。太陽王ルイ14世時代のフランス宮廷のイメージで作られた舞台なのだということを聞いてから見ると細部までじっくりガン見味わいたくなります。
参照:フランス古典舞踊を想起させる優雅で軽快な踊りを見せた、ABTの『眠れる森の美女』チャコットのワールドレポートより)




眠れる美女あらすじ



全体あらすじ



プロローグ

17世紀フランスを思わせるとある王国にて。国王(今日のアイキャッチ画像はルイ14世の肖像画なんだけれど、こんな感じの王様でしょうか)夫妻に長く待ち焦がれていた姫君が誕生した。

その姫君、オーロラの洗礼式が行われる日。
祝いの場に招かれた妖精たちが次々に姫に祝福を贈っていると、突然の雷鳴と共に悪の妖精カラボスが登場。
自分だけが招かれなかったと憤るカラボスは「姫が16歳の誕生日を迎える時、糸つむぎの針に刺されて死ぬだろう」と呪いをかけた。
王や妃、列席の人々が嘆きうろたえる中、まだ贈り物をしていなかった善の妖精リラの精が進み出「姫は死なない。100年の眠りにつくだけです」と予言するのでした。

第一幕

オーロラ姫の16歳の誕生日。輝くばかりに美しく成長したオーロラの元に4人の求婚者が訪れ姫と踊る。
踊り終えた姫に老婆が花束を差し出す。その花束を手に踊るうちに、中に仕込まれた紡ぎ針で指を刺し、オーロラは倒れてしまう。老婆は変装したカラボスだったのだ。
高笑いを残してカラボスが消えた後、悲嘆にくれる一同の前にリラの精が現れ、城と人々に魔法をかける。こうして茨につつみこまれた城は100年の眠りについた。

第二幕

それから100年後。デジレ王子が森に狩りに来た。お供の者たちを退け物思いに沈む王子にリラの精が現れ、オーロラの幻を見せる。
一目で心奪われた王子は城に分け入り、カラボスを倒し、眠る姫に口づけして100年の眠りから目覚めさせた。

第三幕

オーロラとデジレの結婚式。様々な童話の主人公たちや宝石の精が楽しく個性豊かに踊り、祝福を贈る。
気品高き姫と王子も踊り、最後に全員で華やかな大団円の踊りの後、厳かに幕が閉じる。




眠れる森の美女初公演



眠れる森の美女』(ねむれるもりのびじょ、(原題): Спящая красавица)は、ピョートル・チャイコフスキーの作曲したバレエ音楽作品66)、およびその音楽を用いたバレエ作品。クラシック・バレエ作品の最も有名なものの1つに数えられる。ロシア語や英語の題は忠実に翻訳すれば『眠れる美女』であり、また日本語では『眠りの森の美女』とも訳される。台本はシャルル・ペローおとぎ話眠れる森の美女』(仏語La Belle au bois dormant)に着想を得て書かれた。チャイコフスキーのバレエ音楽の中で最も演奏時間が長く、全曲を通した上演には普及している縮小版でも優に2時間を要し、原型に基づく上演の場合、上演時間は3時間に及ぶ。

Wikipedia 「眠れる森の美女(チャイコフスキー)より



眠れる森の美女のバレエが生まれたのは帝政ロシア。
でも舞台はその200年前のフランスがモデル。なぜかというに原作がシャルル・ペロー(フランスの詩人)が作った民間伝承を元にした童話だから。ちなみにペローはルイ14世につかえていたそうです。
歴史にあまり興味がない人間からすればチャイコフスキーもルイ14世も等しく「昔」のくくりだけど、その当時から見て200年前って言ったら寿命も相当短い頃だし、チャイコフスキーたちにとってペローの物語は昔々の遠き国の物語、創造力かきたてられるお話だったのでしょうね。
私たちにとっては更にそれが古典となるわけですが、、





今ではバレエ代表作のように言われる「白鳥の湖」は当初大コケしたため、眠れる森の美女はチャイコフスキーにとってリベンジの作ということになるのかもしれない。
舞台はドイツ(白鳥)に対してフランス。同じ王宮であっても、もっと華やか、絢爛豪華!
作曲依頼に対して「ためらうことなく引き受けた」チャイコフスキーの心情が分かるような気がします。


※digress
3大バレエと言えばこの「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」3つともすべてロシア帝室バレエ団 (現:マリインスキー・バレエ ソビエト連邦時代にはキーロフ・バレエと言ってた)がチャイコフスキーに曲を作らせた作品なのだから、大コケにも関わらず依頼し続けるとは懐が広いというか先見の明があるというか後世に残る本物を見分ける能力があるというか、、
今の時代は若手が最初に一度失敗したらきっと再浮上はないよね。人材が多いからかもしれないけど。





※ digress2
白鳥の湖ほどではないにせよ、チャイコフスキー存命中はあまり人気が出なかった眠れる森の美女は、その後ロシア激動期を経て形が変わってしまった(→後述:バレエ・リュスの眠れる森の美女)
原作がどういうものであったのかが分かったのは、1999年4月30日、ロシア、サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエが復原版を上演したときのことである。
<参照>マリインスキー劇場HP:眠れる森の美女 のページにその復刻盤の写真が載っています。まるで絵みたい!





※digress3
書いていて今ふと気が付いた。先のアメリカンバレエシアター、プティパの振り付けを元にプティパの世界観に迫ろうというのがコンセプトなら、バレエリュスのレオン・バクストの舞台装置じゃ忠実とは言えないんじゃないのかい?(どうでもいい突っ込みですが)




バレエ・リュスの眠れる森の美女




前述「眠れる森の美女(チャイコフスキー)」のWiki後半に記載されていますが、マリインスキーでの初演から約30年後に、ディアギレフが 『オーロラ姫の結婚』 という短縮版(45分)を作っています。
が、これが興行的には大失敗。財政の危機に陥ったディアギレフはこれに懲りて古い作品に手を出さなくなったそう。

バレエ・リュスの眠りについては、チャコットの「バレエの栄光の歴史がきらめく 「薄井憲二バレエ・コレクション」の逸品を訪ねて その8」というコラムが画像も多めで面白いですよ☆




オーロラ姫の時代




閑話休題。

とにかくオーロラ姫というのは、フランスが絶対王政を確立して王様の権力がものすごく大きかった頃の王宮のイメージなのですよ。
そうそう、あの有名なヴェルサイユ宮殿を建てたのがルイ14世です、とかブルボン朝という名前を聞いたことがあるでしょう?とか言った方が分かりやすいかな。




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ヴェルサイユ宮殿だよ。豪華だね(写真ACより)




ですから、そういう国のお姫様であるオーロラ姫はどんな所作をし、どんな衣裳やティアラがふさわしいか?イメージしてみて下さい。
(加えて3幕は結婚式なので、花嫁の衣裳・ティアラを選ぶということになりますね)
豪華であるかもしれませんが、あくまでもエレガントで、気品高く、優美な、、そんな言葉が合いそうです。




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ヴェルサイユ宮殿の鏡の間でジェノヴァ総督の謁見を受けるルイ14世。(1685年) クロード・アレ英語版)画、1715年。




次回は今までのところ描いた3幕オーロラのティアラシルエット画像を一気にアップしてみようと思います☆





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