(バレエ物語)「くるみ割り人形(The Nutcracker )/雪の精の踊り」

私が住んでいるところは殆ど雪が降らない地域なんだけれど、1年に何回かはうっすらと積もることがある。

昨日はその何回かの1日だったらしく、ふっとベランダを見ると子ども達が喜ぶ程度に白く様変わりしていた。

(厚みとしては1㎝あるかないかじゃないかと思うけれど)

丁度夫から「迎えに来て欲しい」と電話があったので、上から前から白い虫が襲来してくるような錯覚に少々怯えながら慎重に運転。

怖いのだけれども何かしら楽しい気持ちにもなってくるから不思議だ。

雪は素敵。雪が降るといつも思い浮かぶ曲がある。もちろんくるみ割り人形のあの場面、雪の精たちが舞い踊る、あの曲だ。

程なくして雪はやんで、積もった雪も融けてしまったけれど、曲は相変わらず頭の中で流れている。というわけで、今日のブログは久しぶりにバレエ物語シリーズ、くるみ割り人形の雪の精について書いてみたいと思う。

(当ブログはきちんと了解を得ない限り他者の作品を掲載しませんので、動画等はありません)


 

ストーリー

くるみ割り人形というお話について書くともう膨大なものになるから(何せ様々なバージョンがあるので)

ここはクララがドロッセルマイヤーおじさんからクリスマスプレゼントにくるみ割り人形をもらった日の真夜中に、不思議なことが起った、、、という多分一番よく聞くストーリーに添った内容をご紹介します。

ネズミの王様を倒して呪いが解けた元くるみ割り人形の王子は、戦いを助けてくれたクララにお礼を言い、お菓子の国に誘いました。

(ここから1幕2場)

寒いクリスマスの夜。道中、ちらほらと雪が舞い始めます。

一面雪景色の松林(松林ってなってることが多いけど、樅(もみ)の森という話もある。クリスマスということを考えると樅の方がふさわしいかな)に差し掛かり、キラキラ輝きながら雪の精たちが軽やかに舞い踊る中を通り抜けて二人はお菓子の国に向かうのでした。

くるみ割り人形の原点はホフマンの「くるみ割り人形とネズミの王様」という物語なんだけれど、この話の中では氷砂糖の野原を通ってお菓子の国に向かうという内容なのだそうだ。

blank

素敵な絵本。でも廃盤なのかな。。中古本しかない(;;)

 

原作通り氷砂糖にしたほうがお菓子の国と繋がりやすそうだけれど、チャイコフスキーの曲は氷砂糖の粒というより、フワフワと空中を舞い飛ぶ雪のイメージだから、やっぱり雪の精じゃないとね。

裏話

「ストーリー」に描いたように、原作はエルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン(E.T.Aホフマン)という人が作った物語なのだけれど、このホフマンという方、エドガー・アラン・ポーに大きな影響を与えた人として知られている。彼の幻想的な作品の代表作「砂男」は、コッペリアの原作でもあります。

コッペリアがパリ・オペラ座で1870年に初演

くるみ割り人形がマリインスキー劇場で1892年に初演だから、2つの作品には特に共通点は無し、、

現実と幻想が入り混じる彼の作品の世界観は国も時期も超えて芸術家たちにインスピレーションを与えるほど強烈だったということでしょう。

くるみ割りの方は砂男と違って、かわいがっていた友人の子どもへのクリスマスプレゼントとして作られたお話の為か他の作品ほどはおどろおどろしい話ではないけれど、手先が器用でお話上手ながら唯一不気味な存在として描かれているドロッセルマイヤーおじさん(ホフマン自身のイメージらしい)の存在など、やはりただのファンタジーではない闇の部分がある。

くるみ割り初演はこういうホフマンの世界観がプティパとイワノフの振付けから抜けていたことに観客が不満を覚えたからか、今一つの評判だったらしい。

けれどクリスマスの美しく夢のような情景の中に、影を織りなすチャイコフスキーの音楽は、不評の初演にもかかわらず後世、誰もが知っている作品へと「くるみ割り人形」を押し上げた。

この雪の情景の繰り返すフレーズにも別世界(死の世界?)に迷い込んでいくような不思議な感覚がある。別世界への憧憬、ためらわずに旅立っていく者への別れが胸に迫るようなラストは、残された唯一の家族である妹を見送ったチャイコフスキー自身の叫びだっただろうか。

そして偉大な作曲家はこのくるみ割り初演から1年足らずで世を去った。

 

音楽

音楽について何かないかな~とネットをうろつきまわっていたら、こんなブログを見つけた。

チャイコフスキー庵 Tchaikovskian



「くるみ割り人形#9:雪のワルツ」というタイトルで前編と後編に分けて解説しておられる。

こんな視覚的な音楽表現、初めて見たので面白すぎた(;^_^A

頭で音楽をなぞりながら読むと、ああ、あの音はあの楽器なんだ、、とバレエ鑑賞とはまた違った楽しさがある。思わずブックマークしてしまった。

勿論私にはこんな解説は土台無理なのでもう少し一般的?にまとめてみることにする。

やっぱりこの曲の特筆すべきは「声」の存在だろう。

音楽に合唱が含まれる古典バレエってこの雪の精のところだけじゃなかろうか。(他にあったら教えてください)

何故くるみ割り人形に合唱が入ったのか、それはオペラ「イオランタ」と関係があるかもしれないという説がある。

「イオランタ」は1892年にマリインスキー劇場で初演された。この舞台は「くるみ割り人形」と一緒に上演され、オペラとバレエとの一体化という方針を象徴する公演として注目されていた。

(ただ、当時はバレエは今一つ評価されず、オペラだけ絶賛されるというアンバランスな結果に終わったらしい)

オペラとの同日2本立て上演ということで合唱団もいただろうから、加えたのかもしれないという、そんな話。

今くるみ割りだけ上演するときは雪の精の時まで待機して、後は解散なのかな?

バレエの舞台で生オーケストラと一緒に合唱したことがあるっていう人にスペース的にどこの場所で歌うのかとか、裏話聞いてみたい。

おまけ(雪カゴ)

雪ってどうやって降らせるのかなぁ~って素朴な疑問が湧いたので、これまたネットをうろうろしてみたら、これまた面白そうなブログを発見した。

これもブックマークして隅から隅まで楽しみたい。

大道具さーん ちょっとー!

松竹大歌舞伎 2(雪カゴについて書かれてる記事)




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